日曜日の夜は明日の仕事のことを考えて憂鬱になります。仕事内容や人間関係で特別イヤなことはないのですが、毎週しっかり気分は落ちこみます。長年これは(自分が怠け者なだけだねトホホ...)と思っていたのですが、近頃は別の理由もあるのかもしれないな、と思いはじめている。 僕は仕事中は必要以上に緊張してしまうタイプで(気楽にやってもOK!って時にも緊張が抜けない)それが負担で憂鬱になってしまいます。その緊張の根本にあるのは僕の中に刷り込まれた「仕事が何よりも大事」という価値観なのかもしれないな。みんなが本当にそこまで仕事に情熱を注いでいるかは別として、どこの職場にもそんなムードは多かれ少なかれ漂っているんじゃないでしょうか。
僕が新卒で入社した会社には多面評価システムがあり。半年に一回、自分のスキルや業務態度について同僚や上司からフィードバックを受ける機会がありました。「率先して困難や課題に立ち向かっているか」「自分のスキルを磨く努力をしているか」「前回の評価時よりも成長しているか」等の基準で自分の働きが評価される日々。僕は仕事に自己実現を求めたり、情熱を燃やすタイプではなかったので、この評価システムにプレッシャーを感じていました。周りの求めている水準に自分が達していないんじゃないか?と不安になったり、野心家の同期のような熱量を持てないことに罪悪感を感じていました。その結果「上辺だけでも模範的な社員にならねば!」と取り繕う場面が多かったです。悲しいねえ。 昔よりはマシになったのですが、この強迫観念は今でも自分に染み付いています。もちろん、みんながこの基準の通りに動けると仕事がスムーズに進むことは理解できます。でも一方で僕たちって毎日こんな理想的なマインドセットを保てるんだっけ?という疑問も残る。そもそも人の話に耳を傾けたり、他者に献身的に協力することは気力と体力が必要なことで、簡単に出来ることではないですよね。体調が悪かったり、不安がある時なんて人と目を合わせてまともに話すのが精一杯だったりしませんか?そう考えると毎日このハイレベルな行動規範を守るのは本当に大変なことです。そして今では(そもそも人間ってそんなに日々成長するんですかね...)とさえ思っています。「成長」はとても大事なことですが、働いていると色んな人から「成長」を急かされ、求められ、なんだか誰からも「今の自分」を肯定してもらえない感覚に陥ることもあります。
この気持ちを自覚してから、少しだけ楽になった。20代の頃は、周りに仕事に自己実現を求める人たちが多くて、僕もそれが当たり前だと信じていたので、常に苦しかったな。当時はこのコンプレックスが強すぎて、出会い系アプリのプロフィールに「仕事を頑張ってる人が好きです!」とか「お互い高め会える関係が理想です」とか書いてる人のことを(相手の御眼鏡に適うと思えなくて)避けたりしていました。ここまで来るとちょっとしたメンタル危機状態だよな...。
色々書きましたが!最近は少しずつだけど、そんな悩みからも距離をとることができています。たま〜にそれでも苦しくなる時は、夜寝る前に大好きな韓国のシンガーソングライター、IUの言葉を思い出しています。(韓国カルチャーに精通している僕のお友達のHATOさんが教えてくれた言葉です)
「進化も大事ですが、もっと大事なものがあります。(これまでのような)進化は休んで、幸せや安全を追求したいですね。毎年は進化しませんし、私はポケモンじゃありませんから」
IUは「自分の人生の手綱を他人に渡してはいけない」という一番大事なことを思い出させてくれます。彼女自身はそれが一番難しい場所で生きているにも関わらず。それがすごいんだ!是枝監督の最新作にも彼女の出演が決まっているのでとても楽しみです。